エクソームシーケンシングによりびまん性胃癌(Diffuse-type Gastric Carcinoma)の高頻度なRHOA活性化遺伝子変異を同定

びまん性胃癌(Diffuse-type Gastric Carcinoma)は胃癌の主要なサブタイプの一つであり、低分化胃癌、スキルス胃癌とも呼ばれることがある極めて悪性度の高い難治がんです。
ゲノムサイエンス分野(垣内美和子大学院生、上田宏生研究員、後藤健吾大学院生、林玲匡元大学院生、山本尚吾研究員、辰野健二研究員)では、東京医科歯科大学 ゲノム病理学分野(石川俊平教授・前人体病理学准教授)および東京大学 大学院医学系研究科 人体病理学・病理診断学分野(深山正久教授)との共同研究により、日本人のびまん性胃癌症例のエクソーム解析によって高頻度なRHOA遺伝子変異を同定しました。変異RHOAの機能解析や構造解析は未来創薬研究所(西沢隆、舟橋真一研究員)と共同で実施しました。RHOA遺伝子は細胞運動・増殖制御に関わる遺伝子で、今回見つかったRHOA変異は、解析の結果、がん化のドライバーとなる活性化変異であることが分かりました。びまん性胃がんは現在有効な分子標的治療薬が存在せず、今回見つかったRHOAの活性化遺伝子変異はびまん性胃がんに対する新規の治療標的となる可能性があります。この成果はNature Genetics オンライン版に5月11日付で掲載されました。

Miwako Kakiuchi, Takashi Nishizawa, Hiroki Ueda, Kengo Gotoh, Atsushi Tanaka, Akimasa Hayashi, Shogo Yamamoto, Kenji Tatsuno, Hiroto Katoh, Yoshiaki Watanabe, Takashi Ichimura, Tetsuo Ushiku, Shinichi Funahashi, Keisuke Tateishi, Ikuo Wada, Nobuyuki Shimizu, Sachiyo Nomura, Kazuhiko Koike, Yasuyuki Seto, Masashi Fukayama, Hiroyuki Aburatani, & Shumpei Ishikawa
“Recurrent gain-of-function mutations of RHOA in diffuse-type gastric carcinoma”
Nature Genetics, 11th May, advanced online publication

Nature Genetics ウェブサイト
東京大学 記者発表ページ

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