淡明細胞型腎細胞癌の統合的分子解析

ゲノムサイエンス分野の永江玄太助教は、京都大学大学院腫瘍生物学(現所属)小川誠司教授を中心とする共同研究チームに参画し、淡明細胞型腎細胞癌に生じる分子生物学的異常の全体図の解明に成功しました。240例の淡明細胞型腎細胞癌に関して、ゲノム変異・染色体コピー数変異・DNAメチル化変異などさまざまな面より解析を行い、3番染色体短腕に位置するVHL、PBRM1、BAP1、SETD2などの遺伝子異常と術後生存率との関係を明らかにした上で、VHL複合体の不活性化に関与するTCEB1の変異を新たに同定しました。さらに、ゲノムサイエンス分野で担当したDNAメチル化解析により、異常メチル化の多いサブグループが同定され、統合的解析の結果、BAP1の遺伝子変異および発現低下やEZH2の発現上昇と関連することから、ポリコーム複合体による遺伝子制御の異常が示唆されました。今後、このような包括的な分子生物学的解析により、難治性悪性腫瘍に対する治療の効率化(層別化)や新たな創薬標的分子・標的経路の発見につなげていくことが期待されます。

これらの研究成果は、Nature Genetics誌のオンライン版に掲載されました

Sato Y, Yoshizato T, Shiraishi Y, Maekawa S, Okuno Y, Kamura T, Shimamura T, Sato-Otsubo A, Nagae G, Suzuki H, Nagata Y, Yoshida K, Kon A, Suzuki Y, Chiba K, Tanaka H, Niida A, Fujimoto A, Tsunoda T, Morikawa T, Maeda D, Kume H, Sugano S, Fukayama M, Aburatani H, Sanada M, Miyano S, Homma Y, Ogawa S. Integrated molecular analysis of clear-cell renal cell carcinoma. Nat Genet. 2013 Jun 24. doi: 10.1038/ng.2699. [Epub ahead of print]

PMID: 23797736 [PubMed – as supplied by publisher]

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