Gli2-sox2経路による神経幹細胞維持

渡辺亮研究員は、理研CDB分化転換研究チーム(近藤亨チームリーダー・神戸)との共同研究で、神経幹細胞の維持に必須であるSOX2の発現を制御する新 しいメカニズムを見いだしました。Gli2は発生や分化をつかさどるSonic hedgehogシグナル伝達経路を制御する転写因子であり、今回、神経幹細胞を構成する神経上皮細胞を用いて、Gli2がSOX2のエンハンサー領域に 直接結合し、SOX2の発現を亢進させることを示しました。Gli2の転写活性機能が欠損したGli2-deltaCを細胞へ導入すると、神経幹細胞マー カーであるHes1, Hes5, Notch1, CD133やBmi1の発現が低下することから、Gli2によるSOX2の発現亢進は幹細胞の維持に重要であることが示されました。また、Gli2欠損マ ウスでSOX2の発現が低下していることより生体内においてもこの転写メカニズムが重要であることがわかりました。Gli2-deltaCとSOX2を同 時に細胞に導入したところ、神経幹細胞マーカーHes5の転写が回復したことより、Gli2→SOX2→Hes5の経路が神経上皮細胞における未分化状態 の維持に重要であることが明らかとなりました。以上の研究成果は10/16日付のStem Cells誌電子版に掲載されました。

Takanaga H, Tsuchida-Straeten N, Nishide K, Watanabe A, Aburatani H, Kondo T. Gli2 Is A Novel Regulator of Sox2 Expression In Telencephalic Neuroepithelial Cells.Stem Cells. 2008 Oct 16. [Epub ahead of print]

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