アンドロゲン受容体の標的遺伝子同定

ゲノムサイエンス分野の堤修一助手、金城聖文研究員らは、東京大学大学院医学系研究科客員教授井上聡先生および東京工業大学白髭克彦先生らとの共同研究により、ゲノムタイリングアレイを利用したChIP-chip解析により、アンドロゲン受容体が制御する遺伝子同定に関する研究成果をOncogene誌(オンライン)に報告しました。

アンドロゲン受容体は性分化や前立腺癌に関わる核内受容体として知られていますが、今回、前立腺癌細胞株を用いてアンドロゲン受容体のChIP-Chip解析をヒトゲノムの約1%の領域(ENCODE領域)において行いました。その結果、10ヶ所のアンドロゲン受容体結合領域が同定され、これらの近傍遺伝子10個はいずれもアンドロゲン受容体のアゴニスト刺激により発現変化が認められました。これらの遺伝子中で、CDH2やUGT1Aはp160ファミリーのcoactivatorの結合や転写開始点付近でのヒストンアセチル化などの変化が認められ、新規の下流遺伝子であることが分かりました。このようにChIP-chip解析は、転写ネットワークを解明するための強力な方法であることが示されました。なお、本研究は文部科学省ゲノムネットワークプロジェクトの支援の下で行われました。

Takayama K, Kaneshiro K, Tsutsumi S, Horie-Inoue K, Ikeda K, Urano T, Ijichi N, Ouchi Y, Shirahige K, Aburatani H, Inoue S. Identification of novel androgen response genes in prostate cancer cells by coupling chromatin immunoprecipitation and genomic microarray analysis. Oncogene. 2007 Feb 5; [Epub ahead of print]

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