CARAT:高密度オリゴアレイを用いたアレル別DNAコピー数解析の新手法

高密度オリゴヌクレオチドマイクロアレイのAffymetrix社とゲノムサイエンス分野との共同研究の成果がBMC Bioinformatics誌に掲載されました。　SNPタイピングアレイを用いて解析し、CARATアルゴリズムによりゲノムコピー数をアレル特異的に予測することができます。　この手法により、癌のゲノム変異を網羅的に解析することができ、発癌のメカニズムの解明につながることが期待されます。 ＜論文概要＞ DNAコピー数の変異は癌細胞の主な特徴の1つであり、癌の複雑な性質と深く関わっています。これらのDNAコピー数の変異は、がん抑制遺伝子の欠失と同様に発癌にとって重要であり、短期間に染色体全体に広がります。ゲノムDNAの変化を高精度に検出することで、細胞への生物学的な影響を解明することができます。私たちの開発した新手法、CARAT (Copy Number Analysis with Regression And Tree) を用いれば、SNPタイピング用100K-SNPs高密度DNAオリゴヌクレオチドアレイによる解析で、プローブの発現強度からアレル特異的なコピー数を予測できます。 CARATによりアレル毎と総コピー数をそれぞれ予測し、ヒト乳癌細胞株を用いて定量PCRとアレル特異的TaqMan反応により検証した。また、X染色体の数が異なるDNAサンプルについて、アルゴリズムの感度と特異性の検証を行った。いずれの検証においても高い一致を示した。以上から、本アルゴリズム CARATは自動的にアレル特異的なコピー数の変化領域とその有意性のスコアを示し、アレル不均衡の構造をゲノムワイドに解析することができる有用な方法である。
Huang J, Wei W, Chen J, Zhang J, Liu G, Di X, Mei R, Ishikawa S, Aburatani H, Jones KW, Shapero MH.
CARAT: A novel method for allelic detection of DNA copy number changes using high density oligonucleotide arrays.
BMC Bioinformatics. 2006 Feb 21;7(1):83