SNO2017 米国脳腫瘍学会 見聞記

2017/11/16-19 にサンフランシスコで開催された、米国脳腫瘍学会(22nd Annual Meeting of The Society for Neuro-Oncology, SNO 2017)に参加して参りました。この学会は脳腫瘍に関する世界最大の学術総会で、脳腫瘍に携わる数千人の臨床医・研究者などが世界中から一同に会します。日本からも我々の他、10ヶ所程の大学・施設のチームが参加しておりました。

まず驚いたのは、海外での脳腫瘍免疫治療への注目度です。もちろん免疫治療は日本の学会でも注目されていますし、免疫チェックポイント阻害剤への期待などは皆感じており、その他トライアルなども組まれております。しかし今回のSNOではそもそもプログラムの目次の時点で、記載がTrials: ImmunologicとTrials: non-Immunologicで大別されていました。米国及び今日の世界に於いて、いかに免疫治療がhot topicであり関連トライアルが多いかが思い知らされます。内容に関しても、極めてclear cutかつ整然と計画されたいくつもの臨床試験が、膨大なスタッフの下でいとも簡単に数百の患者に対して行われており、彼の国での臨床研究のdynamicさがとても羨ましく思えました。

現在私が携わっております脳腫瘍のエピゲノム研究の分野も、口演とポスター合わせ30演題程が発表されていました。免疫領域に比べれば限られた研究施設からではありますが最先端の研究発表があり、この領域の世界における現状が把握できました。結果education dayも含めて4日間、非常に密度の濃い知的刺激を受け、また海外の先生方と直接お話する機会も得られ、とても充実した学会参加の旅となりました。

余談ですが今回の出張で私が取ったホテルはたまたま、貧困+治安の悪い地域の真ん中にあり、学会会場への往復はいつも怖い思いをして(“Heeey, maaan,”と1日3回は絡まれる)日々を過ごしました。こういった地域では金を持っている印象を与えてはまずい為、学会が終わると敢えてネクタイを取りシャツのボタンをはずし、髪をくしゃくしゃにしてガムを噛みつつホテルへ急ぐ、という無駄な努力を続けました。今度からホテル周辺の治安はしっかりリサーチしようと思います。

花 大洵 / 野村 昌志

 

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