Smad2/3結合領域の網羅的解析による共役因子ETS1およびTFAP2Aの同定

ゲノムサイエンス分野の堤研究員は癌研究所生化学部の鯉沼代造研究員との共同研究によって、TGF-βシグナル伝達を担うSmad2/Smad3が結合しているゲノム領域を網羅的に明らかにしました。クロマチン免疫沈降法とゲノムタイリングアレイ(Affymetrix)を組み合わせたChIP -chip法を用いて、TGF-β刺激したHaCat細胞において、1787ヶ所のsmad2/3結合部位を同定しました(プロモータアレイ)。結合領域近傍に存在する888個の遺伝子のうち、およそ2割の遺伝子に刺激後2倍以上の発現変化が認められました。結合領域に共存する結合配列モチーフを探索したところ、Smad結合配列に加えてETS1およびAP-2の結合配列が有意に濃縮されていることが明らかになりました。p21遺伝子第1イントロン中に存在するsmad結合領域の機能解析から両者との協調関係を明らかにすることが出来ました。これらの結果はMolecular and Cellular Biology誌に10月27日付でオンライン掲載されました。なお、本研究は東京大学大学院医学系研究科病理学教室(宮園浩平教授)と癌研究所生化学部(今村健志部長)との共同研究として行われたものです。

Koinuma D, Tsutsumi S, Kamimura N, Taniguchi H, Miyazawa K, Sunamura M, Imamura T, Miyazono K, Aburatani H. ChIP-chip analysis of Smad2/3 binding sites reveals roles of ETS1 and TFAP2A in TGF-β signaling. Mol Cell Biol. 2008 Oct 27. [Epub ahead of print]

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