次世代シーケンサー

HiSeq 2000/2500 (illumina社)

HiSeq 2500

次世代シーケンサー(Next Generation Sequencer)は、ランダムに切断された数千万数億のDNA断片の塩基配列を同時並行的に決定することができる。 Illumina社のGenome Analyzerは、フローセルと呼ばれるスライドグラス上に断片化した1本鎖のDNAを張り付け、断片の相補鎖を合成しながら配列を決定する SBSSequence-by-Synthesis法)によって、塩基配列を決定している。当初は、ゲノム配列のハイスループットな 解読を目的に作成されたプラットフォームであったが、現在ではさまざまなアプリケーションが考案されており、生物学の解析手法を一変させた技術である。HiSeq2000ではHigh-output modeのみが使用可能で、100bp x 2の解析に2週間程度かかっていたが、HiSeq2500ではRapid modeも使用可能で、これを使うと150bp x 2 のシーケンスが23日で完了する。

ゲノム解析

1回のアッセイにより100GbpG;ギガ=十億)を越える配列を高い精度で決定することができる(シーケンシング、リシーケンシング)。さらに、双方向性のペアエンド法を 併用することによって、ヒトゲノムのような、ゲノムサイズが大きく、反復配列を多く含むゲノムにも詳細な解析が可能となる。染色体転座やコピー数異常など のゲノム構造異常の解析への応用も期待されている。読み取り深度を深めることで(ディープシーケンシング)、頻度の少ない変異を検出することもでき、たとえば血液中を流れる微量ながん細胞由来のDNAcell free tumor DNA)を見つけることで、がんの発見や再発の診断に用いることも可能となっている。

エピゲノム解析

クロマチン免疫沈降法(ChIP法)によって、特定のDNA結合タンパクの結合領域やヒストン修飾部位を含むDNA断片を濃縮し、この配列のシーケ ンスを行うこと(ChIP-seq法)で、こうしたエピジェネティック情報の網羅的な解析が可能となる。DNAメチル化状態の解析(MeDIP-seq法 など)にも有用である他、ヌクレオソームの3次元的な相互作用の解析など、応用範囲は多彩である。

トランスクリプト解析

細胞内の転写産物を鋳型に相補鎖DNAを合成し、この配列をシーケンスすることで転写産物の網羅的解析(いわゆるデジタル遺伝子発現タグプロファイ リング)が可能となる。これまで解析が困難であった小分子RNAsmall RNA)にも応用可能である他、報告のないような新規のトランスクリプトの発見にも有用である。

MiSeq (illumina社)

MiSeq

MiSeq


デスクトップ型シーケンサーと呼ばれる機種で、カセット化した試薬を用いることで簡便な操作を可能とし、また、解析サーバーやコマンドの知識がなくても、本体のみですべての解析を可能としているので、専任オペレーターや、バイオインフォマチティシャンがいない施設でも運用可能である。10Gb程度の出力が2-3日で得られるので、シーケンス量を必要としないターゲットシーケンスでの分子診断やゲノムサイズの小さい生物種の解析などで用いられる。

Ion Proton™システム(Thermo Fisher Scientific社)

次世代シーケンサIon Proton™システム (Thermo Fisher Scientific社)

Ion Proton™システム

次世代シーケンサーのもう一つの機種。断片化したDNAを同時並列的にSequence-by-Synthesis法で読んでいく点ではilluminaと同じであるが、核酸が取り込まれる際に放出される水素イオン(proton)を電気的に検出するため、高価な蛍光色素や蛍光を読み取るための光学系、画像解析などの技術が不要でシーケンスコストが低い特徴を持つ。送液中の核酸を次々と切り替えてAGCTの塩基を判別するが、同じ塩基が続く場合は連続して取り込まれ、検出される電流量の違いで連続塩基数を判別するが、あまりにも連続塩基が多くなると塩基数の判定に誤差が生じやすい。

IonProton

www.thermofisher.comより

ライブラリー調整機器

DNAやRNAからシーケンスライブラリーを調整する操作は、酵素反応や精製などの何段階ものステップを経て行われる。マニュアルでの操作も可能であるが、多数のサンプルを処理することは過大な労力が必要であり、また、マニュアル操作ではサンプルの取り違えや操作の誤りなどのリスクが大きくなる。一連のライブラリー作成操作を自動化するためにライブラリー調整機器を導入している。

Neoprep (illumina社)

NeoPrep

NeoPrep (illumina社)

Illuminaシーケンサー専用のライブラリー作成自動化機器。専用試薬と専用機器を用いることで、完全自動化を達成している。16サンプルを一度に処理。セットアップに30分程度で済むが、ライブラリーの完成までには9-10時間かかる。作成できるライブラリーは専用試薬キットが出ているアプリケーションに限られる。

Bravo Automated Liquid Handling Platform (Agilent社)

Bravo Automated Liquid Handling Platform

Bravo Automated Liquid Handling Platform (Agilent社)

96チャンネルの分注機とロボットアームなどを組み合わせた機器で、マニュアルでの操作を忠実に再現することでライブラリーを作成する。もともとは製薬企業などでのハイスループットスクリーニング(HTS)用に開発された機器ではあるが、Agilent社が自社の試薬キットの調整用にカスタマイズしている。そのため、試薬自体はマニュアルでの操作のものと同一のものが使えるが、Agilentの試薬キット(NGSではSureSelectとHaloplexのシステム)に特化したプログラムが搭載されている。もちろん、プログラムを変更すれば自由な操作が可能である。

Sciclone G3™ 自動液体分注システム (PerkinElmer社)

Sciclone G3™ 自動液体分注システム

Sciclone G3™ 自動液体分注システム (PerkinElmer社)

Bravoと同様に96チャンネルの分注機とプレート移動のアームが付いたライブラリー作成自動化装置。Perkin 社は自社でのNGS試薬を販売していないため、各社の試薬キット、シーケンサーに対応したプログラムを提供している。比較的コンパクトな機種で主にエクソームシーケンスのライブラリ作成に使用している。