日本人における拡張型心筋症・肥大型心筋症のゲノム解析

拡張型心筋症や肥大型心筋症は、未だ治療法が確立していない難治性疾患であり、心不全・致死的不整脈・心臓死を引き起こします。これらの心筋症の多くは遺伝子変異が原因で発症すると考えられていますが、日本人における変異遺伝子の分布や、遺伝子型と表現型との関連は明らかでありません。

今回、大学院生の飛田尚重(東京女子医科大学 循環器内科)、協力研究員の野村征太郎(東京大学 循環器内科)は次世代シーケンサーを用いたターゲットシーケンスにより、本邦における心筋症の変異遺伝子の分布を明らかにしました。さらに、拡張型心筋症において、TTN遺伝子のtruncation変異を有する患者がLMNA遺伝子変異を有する患者と比べて予後が良く、治療反応性も良好であることを見出しました。本研究は、心筋症の遺伝子診断や遺伝子型による予後予測・治療方針決定に直結し、精密医療の実現に向けた貴重な成果と考えられます。

本研究は本学附属病院循環器内科の小室一成教授らとの共同研究により行われたもので、科学雑誌Scientific Reports」のオンライン版で公開されました

雑誌名: Scientific Reports

論文タイトル: Genetic basis of cardiomyopathy and the genotypes involved in prognosis and left ventricular reverse remodeling

著者: Takashige Tobita, Seitaro Nomura, Takanori Fujita, Hiroyuki Morita, Yoshihiro Asano, Kenji Onoue, Masamichi Ito, Yasushi Imai, Atsushi Suzuki, Toshiyuki Ko, Masahiro Satoh, Kanna Fujita, Atsuhiko T Naito, Yoshiyuki Furutani, Haruhiro Toko, Mutsuo Harada, Eisuke Amiya, Masaru Hatano, Eiki Takimoto, Tsuyoshi Shiga, Toshio Nakanishi, Yasushi Sakata, Minoru Ono, Yoshihiko Saito, Seiji Takashima, Nobuhisa Hagiwara, Hiroyuki Aburatani, and Issei Komuro

カテゴリー: ニュース パーマリンク