肝細胞癌のmolecular karyotyping

肝発癌における染色体変異を解析し責任候補遺伝子を同定する目的で、当研究室が先に開発したゲノムインバランスマップ(GIM)(Ishikawa 2005)を用いて、36例の原発性肝細胞癌について高密度マッピングアレイによる解析を行った。
多型情報を利用することにより各アレルのコピー数変化の検出が可能であり、ヘテロ接合性の消失に加えて総コピー数に変化はないものの片親アレルが消失しているuniparental disomy(UPD)が高頻度に生じていることが確認された。 これらの領域内には刷り込み遺伝子であるPLAGL1(6q24-25)の発現低下が認められた。PLAGL1は婦人科領域の癌における癌抑制遺伝子との報告があり、肝細胞癌でも発癌に関与する可能性がある。
また、ゲノムコピー数とmRNA発現量は強く相関することが示され、遺伝子プロファイルは染色体異常に起因する遺伝子発現の偏在に強く影響されるとする我々の観察(Mukasa 2002, Midorikawa 2004)が裏付けられた。

Midorikawa Y, Yamamoto S, Ishikawa S, Kamimura N, Igarashi H, Sugimura H, Makuuchi M, Aburatani H.
Molecular karyotyping of human hepatocellular carcinoma using single-nucleotide polymorphism arrays.
Oncogene. 2006 Jun 19; [Epub ahead of print]

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