EMBO: Nuclear Structure and Dynamics出張報告

今回、南仏リル シュル ラ ソルグで執り行われたEMBO conference: Nuclear Structure and Dynamicsに参加し、ポスター発表を行った。この会議は2年に一度開催され、転写制御や複製、DNA修復、染色体構造などクロマチン構造とダイナミクスに関連する研究分野の研究者が集まる国際学会である。今回の参加者は240名ほどで、フランスでの開催ということもあってか、ヨーロッパの国々の研究者が多い印象であった。

プログラムの合間には、アンティークや蚤の市で有名なリル シュル ラ ソルグの町の観光の時間や、若手研究者とPIのコミュニケーションを図るインタラクションランチなど研究以外の交流を図れる機会も多かった。インタラクションランチでは、学生やポスドクが奨学金を取り欧米の研究室でポストを得るためには何が必要か、成果を出してPIになるには何が必要かなど話を聞くことができ、非常に有意義であった。

研究のトピックとしては多岐に亘るが、DNA修復に関わるタンパク質複合体が転写制御にも関わっていることが報告されるなど、異なるトピックと思っていたことが非常に関連しており、新たな視点を得るいい機会になった。

本会議への参加を通し、クロマチン構造研究の最新動向を知ることができた。特に現在私が取り組んでいる、クロマチン相互作用を検出する実験手法であるHi-C法について、様々な細胞系において応用が進んでいる印象を受けた。またHi-C法の新たな情報解析手法についても報告されており、この実験法の応用の仕方にも可能性があることがわかった。更に、クロマチン相互作用を検出する方法として、高解像度顕微鏡を用いた方法や、マイクロダイセクションを用いた方法など新たな手法も考えられており、新たな知見が報告されていた。次世代シーケンサーの専門家と顕微鏡の専門家、ヒトだけでなくマウスや線虫、ハエの専門家など様々な専門性が交流することで、普段の研究と異なる分野に触れる機会となり、非常に有意義な会議であった。ポスター発表については、多くの参加者が手法の独自性に興味を持って下さり、実験方法について多くの質問を受けた。Hi-C法を応用した私の実験手法についても新たな応用可能性を強く感じることができた。

(岡部)

学会会場

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