卵巣癌に高発現するMUC13

ゲノムサイエンス研究室では以前にムチン蛋白であるMUC13が胃癌に高発現することを報告した(Shimamura, 2005)。サウスダコダ大学のSubhash Chauhan博士との共同研究でMUC13の卵巣癌における機能について解析を行った。組織アレイ解析により上皮性卵巣癌(epithelial ovarian cancer)でMUC13の発現亢進が認められた。卵巣癌細胞株SKOV-3においてMUC13を強制発現させると、細胞が丸くなり分散されるという細胞の形状の変化が観察され、JNKシグナルを阻害する化合物(SP600125)やJNK2の遺伝子発現抑制(JNK siRNA)によって抑制された。さらに、MUC13の強制発現は細胞接着の抑制、細胞運動能や増殖の亢進をもたらし、マウス生体内における腫瘍形成能を増大させた。このように本研究では、上皮性卵巣癌におけるMUC13の発現亢進を示し、その発現が腫瘍の増悪に関与している可能性を示した。これらの成果はCancer Research誌の2月号に掲載された。

Chauhan SC, Vannatta K, Ebeling MC, Vinayek N, Watanabe A, Pandey KK, Bell MC, Koch MD, Aburatani H, Lio Y, Jaggi M. Expression and functions of transmembrane mucin MUC13 in ovarian cancer. Cancer Res. 2009 Feb 1;69(3):765-74.

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