Cold Spring Harbor Laboratory Meeting, “The Biology of Genomes”

開催期間: May 7 – 11, 2013

5月上旬のCSHLは日本でいうところの少し肌寒い春上旬のリゾート地のようなところだった。市内からずいぶん離れ、緑に囲まれたその場所はあまり外国に来たという感じがしない。そのため、会議自体も通常日本で行われる多くのものと別段変わったところはないというイメージだったが、実際に会議が始まってみるとこれまで参加してきたどんな会議とも異質で特別なものだとわかった。

まず、数百人の参加者がいるにも関わらず、講演など口頭発表に使用される会場は特定の大ホールの一カ所のみであったことに驚いた。またそれは今回の会議に限ったことではなく、CSHLで行われる会議はすべてその会場で行われる。そのため、特に人気のあるセッションにおいて(今回はCancer genomic等)は全員が会場に入ることが出来ず、立ち見に加え外のスクリーンで会議の内容を見ている人も少なくなかった。

また、CSHLの研究所自体も自分の知る日本の研究所には見られない特徴があった。特にゲノム研究が盛んであるCSHLでは、mRNAを読むリボソームを模したオブジェが並んでいたりとまさにゲノム研究の聖地のような雰囲気を醸し出している。その他、研究所の中に専用の飲み屋や食事ができる場所があるが、そこには過去の優秀な研究者の私物や写真が残されており、直に彼ら存在や伝統を感じることが出来た。

会議の内容としては、特に昨年度発表されたENCODE関連のデータを用いた発表が多く、ゲノムワイドな機能領域及びそれに関わる因子間の相互作用を特定する研究がいくつか発表されていた。その中で、ゲノム上の複数種類のヒストン修飾領域を組み合わせ新しい転写の活性マークを探索したり、それらが生物種ごとにどのように違っているのかをまとめている研究は、今後より重要な転写活性領域を見つけていく上でとても参考になった。また、細胞種特異的な広いエンハンサー領域や、それら特異的な領域における複数の因子の関与が報告され、今後のゲノムワイドな転写活性の研究において複数の因子のコンビネーションを考えながら進めていく必要があるように感じた。

最後に、今回に会議において研究発表及び海外の研究者と議論を行うことにより、現在自分やラボのメンバーにより行われている研究の水準の高さと意義を実感でき、今後のより高いモティベーションに繋がった。 (仲木)

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